おうし座の右の角の先端にあたるζ星の北西約1.5度のところにある,視直径6分ほどの超新星残骸です。距離は7200光年,大望遠鏡で撮影すると中心から触手のような筋が伸び,かにの姿を連想させることからこの名があります。写真でもかすかに赤いフィラメント構造が見えます。小望遠鏡では、真ん中で折れ曲がった「佐渡島」のような姿を楽しむことができます。 このかに星雲は,いまから900年以上前の西暦1054年,一つの恒星がその一生を終え,超新星爆発を起こした名残であることが知られています。当時,この超新星は金星に匹敵するほど明るくなり,1ヶ月ほどは昼間でも見ることができたことが記録に残っています。日本でも鎌倉時代の歌人,藤原定家が書いた「明月記」という日誌の中に記述が見られます。 |
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